第33章 断章 全身全霊チョコレート・パニック!
もはや味見なんて生易しいものではなくなったなずなの玉犬チョコ攻撃は生徒だけでなく、補助監督や教師陣にも及んでいた。
伊地知は普段の忙しさも手伝って「甘いものはありがたいです」と喜んで受け取っており、新田は元々甘いもの好きの上、補助監督達には渡す頻度も少ないことから特に問題無かったのだが……
同様に、いや、新田以上に甘いもの好きな五条はそうはいかなかった。
最初こそ「なずなからチョコもらっちゃった」と伏黒に見せびらかしていたが、日が経つにつれ、どんどん元気を無くしていった。
「僕、そろそろあんこが食べたい……」
しかし、そんな儚い願いは叶わず、大福を手にしようものならなずなが飛んできて、ものすごい勢いで玉犬チョコとすり替える。
そして続く言葉は、
「感想、教えてください」
ちなみに無下限呪術を使ってすり替えを阻止しようとしたら、あろうことか術式を中和する結界で対抗してくる始末。
結界だけ見れば自分の周囲だけに範囲を絞って、内側からの攻撃にもある程度まで耐えられる強度を備え、きっちり中和を機能させてくる文句無しの出来映えなのだが……
お菓子をすり替えることに本気を出す教え子の成長に涙がちょちょぎれそうである。
なお、家入は最初から「甘いものは苦手なんだ」と賢く断っていた。
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