第33章 断章 全身全霊チョコレート・パニック!
数日後―
「ちょ、これ今日何個目よ……」
野薔薇は手のひらに載った玉犬チョコを眺めて愕然と呟いた。
最初こそぎこちなかったものの、元々の作り方が簡単なこともあってすぐにチョコレートの成形をマスターしたなずなは、連日試作品を作っては野薔薇達に渡して感想を求めるようになっていた。
今日は既に朝に2つ、昼に1つ、そして今さっき渡されたので4つ目。
無論、味見しているのは野薔薇だけではない。
虎杖に真希、パンダ、狗巻、乙骨と伏黒以外全員に配っている疑惑が浮上している。
そして、その疑惑を裏付けるように虎杖達も呟くのである。
「俺、5個目……」
「私は4個だな」
「俺と棘も4つもらった」
「僕は3個目だね……」
今日だけで20個は作っている計算になる。
「生産体制どうなってんのよ!?」
たった1人でここまで量産できるものなのか。
しかも1個ずつに対して味や玉犬の表情についての感想を求めてくるからたまらない。
もうとうの昔に感想コメントはネタ切れだ。
他にもうっかり玉犬チョコの製作現場に立ち入ろうものならずらりと並ぶ玉犬チョコの前に案内され、
「玉犬の表情なんだけど、どれが可愛いと思う?あ、恵くんにあげるんだから、もっとキリッとしたカッコいい表情の玉犬がいいかな?」
と散々相談される。
実際虎杖と野薔薇はその相談と共にチョコを渡され、ガックリと肩を落とした。
「……なぁ、釘崎」
「何よ」
「伏黒さ、渡辺から貰えるんならどんな顔の玉犬でも喜ぶと思うんだけど」
「奇遇ね、全く同感」
「じゃあ俺達、なんでこんなにチョコ食ってんの……?」
「なずなが満足してないからでしょ……」
いっそこの場に伏黒を呼ぼうかとも考え、実際に行動に移してみたものの、伏黒を連れてくるなり「まだダメ」「待ってて」「絶対に見ないで」とまるで鶴の恩返しの如く追い返されてしまった。
伏黒も連日漂ってくる甘い匂いに何が起こっているかは大体察しているようだったが、なずなが頑ななのでそれに従うしかないと言う。