第32章 断章 節分カルチャーショック
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せっかくなのでなずなにも豆まきを体験してもらおうと、虎杖達の持ってきた落花生と伏黒が持ってきた大豆を分けて渡し、やり方を教える。
「鬼は〜外って言って外に豆を投げて、福は〜内って室内に投げんのよ」
なずなは野薔薇に倣って一掴み投げてみるが、窓の外に転がっていく豆はどう考えても鬼を傷つけられるものとは思えない。
「ね、ねぇ、やっぱりこんなので本当に大丈夫なの?」
「何、不安なの?」
「これで鬼を撃退っていうのがどうしても信じられなくて……」
「本来はまく前に豆を神棚に供えて霊力を高めるらしい」
「うーん、それならいける……?で、でも刀の方が確実じゃないかな?」
「まぁ、それは尤もだけど、誰でも刀を持てる時代ってそんなに無かったから、豆まきの方が広まったんじゃねぇか?」
伏黒の説明を受けてなんとか納得したなずなだった。
……のだが、
4人で平和に豆まきしているところへ、どこから聞きつけてきたのか、五条が乱入してきた。しかも鬼のお面を着けて。
「皆、楽しそうなことしてるじゃん」
「えっ、五条先生!?」
驚く4人の手にある落花生と大豆の混成福豆を見て面の奥で笑う。
「異文化交流してるね〜、でもぶつける相手がいないんじゃ楽しさ半減じゃない?しょうがないから僕が鬼役やってあげる」
混ざりたかっただけでしょ、という伏黒の言葉をスルーして室内に乗り込んだ。