第31章 断章 Happy Merry Birthday
そして問題のメニュー決めだ。
レシピ本と睨めっこしながら、高専にある調理器具や設備で作れる料理を考える。
「生姜の料理……生姜焼きとか魚の煮付けとか……?」
「どう考えてもパーティー向きじゃないでしょ。なずな、テンパり過ぎ。別に生姜にこだわらなくてもいいじゃない」
あれでもない、これもイマイチとページをめくっていくと、赤と黄色が華やかな写真が現れた。
「パエリアとか美味しそう……!」
「おっ、いいんじゃね、パエリアパンがないからフライパンになるけど、パーティーっぽい!」
「で、でも初心者でも作れるかな……」
「大丈夫っしょ。多少焦げついてもおこげも美味いらしいし」
練習で一度作ってみて具材の火の入り具合を確かめておけば、本番の時に生焼けになりそうな具材にあらかじめ軽く火を通しておくこともできる。
「先輩達と私達で8人分?フライパン1個じゃ足りなそうね」
「釘崎、五条先生も入れてあげよ?」
「ちょっと多めに作っておいて伊地知さんとか新田さんにもお裾分けしたいな。無理言って任務を調整してもらうし……」
「なら10人分でフライパン3個使う?コンロの火力が違うからちょっと考えないといけないけど」
「アンタとか1人前じゃ足りなそうだもんね」
虎杖をたしなめる野薔薇の隣でなずなは慄いた。
「フライパン3つも!?で、できるかな、自信ないよ……」
「さすがに俺達も手伝うよ。な、釘崎?」
「勝手に決めんじゃないわよ。まぁでも、ここまで聞いておいて無視はできないわね」
「で、でも……」