第31章 断章 Happy Merry Birthday
「じゃあさ、パーティー向けの料理は考えるとして、ケーキは作んねーの?」
「!!」
その手があったかという驚愕の表情を浮かべたなずなに虎杖は苦笑する。
「ど、どんなケーキがいいかなっ、あ、生姜ケーキとか……?」
「絶対アカンやつよ、それ」
「でも甘酢生姜とかなら甘いし……」
「甘酢だろうがシロップ漬けだろうが絶ッ対ダメ!」
野薔薇は食い下がろうとするなずなに断固反対の姿勢だ。
伏黒なら奇をてらったものより普通のケーキの方が喜びそうなことは予想できるので、虎杖もフォローする。
「伏黒ってどっちかっていうと生姜そのものが好きってより、生姜を使った料理が好物だと思うんだよなぁ」
「どうしても生姜を使いたいならケーキじゃなくてクッキーにしなさい」
「うぅー、料理にケーキにクッキー……間に合うかな……」
いよいよなずなはぐるぐると目を回し始めた。
今にも頭からプシューと湯気が出そうな勢いだ。
「いっぺんに全部作る必要ないわよ。アイツの緩んだ顔は見ものだけど、小出しにして勿体ぶってやればいいわ」
「釘崎、伏黒に厳しくね?……まぁ俺も全部作るのは大変だと思うし、小出しは賛成だけど」
「じゃ、じゃあ料理とケーキにする……」