第31章 断章 Happy Merry Birthday
立て続けに任務が入ってしまった伏黒と分かれ、高専に戻ったなずなはすぐに教室に向かい、虎杖に頼み込んだ。
「虎杖くん、私に料理を教えてください」
「へっ?いきなりどしたの?」
「じ、実は……」
なずなは伏黒の誕生日会を開きたいこと、その時に食べたいものを聞いたら手料理と返ってきたが、こういったおめでたい場での料理は作ったことがないので自信がないことを伝える。
すると近くで聞いていた野薔薇が尋ねてきた。
「伏黒の誕生日っていつなの?」
「えっと、12月22日……」
「まだ2ヶ月も先じゃない!気が早すぎない?」
「でも料理の練習の前に何を作るか決めないといけないし、プレゼントも買うでしょ、補助監督さん達に任務の調整をお願いして、あと先輩達にも声をかけないと……!」
やることを指折り数えていくなずなに野薔薇が思わず口を挟んだ。
「先輩達に声をかける?」
「うん」
「2人きりじゃなくて?」
「う、うん、皆にお祝いしてもらう方が楽しいかなって……」
いかにも恋愛初心者らしい答えに野薔薇は絶句。
向かいにいる虎杖は「確かにそうだな」なんて頷いており、無性にしばきたくなってくる。