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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第28章 断章 浜辺の誘惑



ふざけているようだが、虎杖が投げたボールをしっかり弾き返す。

こぼれたボールを狗巻が拾い、乙骨に繋げた。

が、乙骨に届く前に伏黒が妨害し、その後も1、2年の間でボールが奪い奪われる。


そこまで実力差はないものの、1年チームは何度もパンダにゴールを阻まれていた。


「ちょっと全ッ然ゴールできないじゃん」

「パンダ先輩、壁みたいになってる……」


野薔薇が恨めしそうにパンダを睨み、なずなは呆然と呟く。


ただでさえ海上でボールが投げにくいというのにパンダの壁が高く、それを越えようと山なりのボールを投げれば着水前に真希に取られる。


「パンダ先輩を左右のどっちかに寄せて逆サイドを攻めるか?あの調子だとそこまで素早く動けねぇだろうし」

「オッケー、じゃあ俺はパンダ先輩引きつける側?」

「そうだな。虎杖が一番ボール触ってるし」

「私達は?」

「俺達はできるだけ虎杖にボールを集めてパンダ先輩に虎杖をマークさせる。渡辺はタイミング見計らってそれとなくパンダ先輩の逆サイドに控えててくれ……できるか?」

「!、う、うん……!」


なずなに問いかけるとビクリと肩を縮こませて帽子のつばを握り、顔を隠してしまう。


やはり目は合わない。
なんだかモヤモヤする。






2人の様子を隣で見ていた野薔薇は伏黒が離れるとすぐなずなをたしなめた。


「なずな、アンタ照れすぎ。付き合う前に戻ってんじゃない」


なずなが伏黒に告白する前、それこそ今のように伏黒と目も合わせられない時期があり、その頃を彷彿とさせる態度に口を挟まずにはいられなかったのだ。


「だ、だって……伏黒くんの水着姿、直視できない……」

「なんでよ!?」

「伏黒くんって普段はきちんと服着てるでしょ?あんな風に鎖骨とか腹筋とか見えることないから……」

なずなの視線は忙しなく泳いでいる。

「つ、ついつい目がそっちに行っちゃって……恥ずかしいというか、なんだか、その……ドキドキして見れなくて、それも申し訳ないというか……」

「……伏黒がラッシュガード脱いで虎杖みたいに上半身出したらどうなんのよ」

「!?、む、む、無理、無理無理!」


真っ赤になった顔を両手で覆うなずなに野薔薇は呆れるしかなかった。


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