第28章 断章 浜辺の誘惑
1年がシャチに手こずっている間、パンダがビーチボールを持ってきて乙骨に投げた。
「水球しようぜ、2年対1年で。呪力使うのナシな」
特製水着のお陰で一切水に濡れないため、結構調子に乗っている。
「えぇ、じゃあ僕は足手まといかも……」
キャッチした乙骨は自信なさげに苦笑し、逆に隣にいた真希は乗り気だ。
「ゴールはどうすんだ?」
「大体の範囲決めてそこにボールが着水したら1点でよくね?あの赤パラソルから向こうが2年ゴールで、あっちの青パラソルから向こうが1年ゴール」
「おっ、先輩達何かすんの?」
「悠仁、1年3人呼んでこい。水球やるぞ」
人数が少なく他の海水浴客もいる手前、正規ルールではできないが、パンダはやけに自信たっぷりだった。
「パンダ君張り切ってるね」
「フッ、聞け憂太、俺はこの水球自信あるぜ。なんたって……足がつくからな!」
水球は本来ずっと立ち泳ぎしながらボールを奪い合い、相手ゴールに入れるスポーツだ。
それに倣って底に足が届かない深さの場所を選んだが、パンダはそれでも立っていられるらしい。
しかし、それが許されるはずもなくすかさず抗議の声が。
「狡いぞ、パンダ」
「しゃけ、こんぶ」
「ルール違反ですよ、先輩」
結局、公平に全員足が届く範囲に移動してゲーム開始。
だが、実際にやってみると……
やはりというかなんというか、真希と虎杖が頭一つ抜けて強く、あれだけ自信満々だったパンダは予想外に苦戦していた。
「うおぉ、全然思った方に歩けん!」
「そりゃそんだけ面積デカいからな。水の抵抗は私達の中で一番だろ」
「くっ、こうなったら俺はキーパーに徹するぜ。パンダガード!!」