第28章 断章 浜辺の誘惑
なずなは真希の胸の感触が残る頬に手をやり、先程の出来事を思い出して呆然としていた。
Tシャツ越しでも分かる豊かな胸……
それに包み込まれたら、なんて考えたこともなかったけれど、信じられないくらいふわふわで柔らかくて、しっとりと包まれるような質感があって……
あんなに心地良いものだとは思ってもみなかった。
お母さんに抱っこされる赤ちゃんってどんな気持ちなのかな……?
きっと夢のような包まれ心地なんだろうな……
そんなことを考えながらぽやーっとしていたら、いつの間にか伏黒が目の前にいた。
「……渡辺、聞こえてるか?俺達以外は一足先に海入ってるって」
「!、ご、ごめん、伏黒くん。聞こえてなかった……!?」
慌てて返事をしたなずなは今度は間近に捉えた伏黒の姿にピシリと固まる。
普段は制服を着崩したりしないし、体操着もいつもしっかり着ているから気づかなかった。
今は露わになっている首筋から鎖骨にかけて、そしてなずなの視線は更に下に行ってしまう。
ラッシュガードから覗く身体は引き締まっていてたくましく、腹筋は綺麗に割れているし肌も白くて、眩しくて……
ドキリと心臓が鳴る。