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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第28章 断章 浜辺の誘惑



「俺が水に濡れるの嫌なの知ってるだろ?海水なんて真水より厄介だ。絶ッ対に触りたくねぇ!」


海水で濡れたら真水で全身を洗ってしっかり乾かさないとカピカピになってしまう。
もし海に入らなくても海風に晒されたら自慢の被毛がギシギシだ。やっぱり水で洗い流さなければならない。

パンダはその体の大きさ故に一度濡れたら乾かすのはひと苦労どころではないわけで……


「海じゃなくて山にしようぜ。涼しいし、キャンプとかも楽しいだろ?」

「虫が嫌だから却下。行くならパンダ先輩だけで行って」


代替案を出したら野薔薇に容赦なく切り捨てられた。



ガックリと項垂れたパンダを励ますように乙骨が背を撫でる。
その反対隣では虎杖が苦笑して野薔薇を見ていた。


「釘崎、厳しいなぁ……」

「だね。僕は山でも大丈夫なんだけど、せっかくなら皆で行きたいし……」

「あ、そだ、学長に頼めばパンダ先輩用の水着とか作ってくれんじゃね?」

「悠仁、憂太、なんて優しい奴なんだ……!」


少しだけ元気になったパンダは乙骨と虎杖を伴って学長室へ駆けていく。





狗巻と伏黒も任務の呼び出しがかかり、女子だけが残された。


「そうと決まれば水着買いに行きましょ!なずなも行くわよね?」

「へっ!?えっと、でも私、水着持ってるよ」

「どんな?」

「学校の水泳で着る水着……」

紺一色のいわゆるスクール水着だ。
しかし、せっかく海に行くというのにそんな水着など、野薔薇が許すはずがない。

「そんなんじゃ全然ダメ。大体アンタ達、デートもまだなんでしょ?ちょうどいいじゃない。伏黒をあっと驚かせる水着を着てやりましょうよ」

「で、でも2人で任務の時とか、任務終わりにちょっと手を繋いだりするよ……?」


そう言って頬を赤くしてモジモジするなずなに野薔薇は語気を強めた。


「それはデートとは言わない!大体、なんでまだ苗字呼びなのよ、堅っ苦しい!」









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