第7章 日々是特訓
一方真希と伏黒は、特訓の合間にキャシィの洗濯を眺めていた。
「昨日、なずなは私達のことを羨ましがってたけど、私はさ、なずなのことが少し羨ましい」
「なんでですか?」
伏黒が見た限りでは、なずなとの手合わせではいつも真希が勝っている。
怪訝そうにする伏黒を尻目に真希はなずなの方へ視線をやった。
「違うんだよ、刀への慣れ方がな。あれはかなり小さい頃から刀握ってる動きだ」
自分にはそんな環境はなかった。
ある程度は自身の身体能力でカバーできてしまうが、それ以上はなんともならない。
まぁ、だから様々な呪具を扱えるようにしているのだが。やはり身近に見ると無いものねだりをしてしまう。
「悪い、らしくなかったな……そうだ、オマエ、使う呪具は決めたか?」
「はい、候補はいくつか。俺の影にどれくらい入るか試してみて、最終的に決めようかと思ってます」
「じゃ、午後から呪具の保管庫行ってみるか」
どうせキャシィを干しているだろうから、なずなを一緒に連れていくのもいいかもしれない。
伏黒となずなは真希に連れられ、高専の呪具保管庫に入った。
刀、槍、薙刀、小刀や弓矢など、あらゆる呪具が壁にびっしりと掛けられている。
「わぁ、すごいですね……!」
なずなの実家にも複数の呪具があったが、こんな数の呪具が並んでいるのは初めて見た。
その光景に思わず感嘆の声を漏らす。