第25章 断章 呪具女子!
一方、真希は少し考える素振りをしてからなずなを小突く。
「持ってこいよ」
「え?」
「だから、鬼切持ってこいよ」
「い、今からですか!?」
「任務前に動きを見ておきたいって言ったろ?さっきのがフルパワーじゃないんなら尚更だ」
「は、はいぃ……!」
なずなは恐縮して踵を返した。
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あ、まずい。
何やら真希に促され、グラウンドから離れるなずなを見て、伏黒は眉を寄せた。
1人でどこ行くつもりだ?
今すぐ追わないと事態が深刻になってからヘルプコールがかかってくる。
この1週間程でそう学んだ伏黒は、先輩達に断ってなずなを追った。
「ふ、伏黒くん……!」
案の定、なずなは校舎の裏で涙目になっていた。
「せ、先輩に鬼切持ってこいって言われてて、でも寮がどこか分からなくて、グラウンドにも戻れなくなっちゃって……!」
急がないといけないのに、と焦るなずなは眉を八の字にして、今にも泣き出しそうだ。
「なら誰かに電話しろ。その前に自信無いなら先輩にもついて来てもらえ。あと寮はこっちだ」
申し訳なさそうに胸の前で手を握り、ありがとうとか細い声でお礼を言うなずなを引き連れ、伏黒は寮までの道のりを進んでいく。