第25章 断章 呪具女子!
「そら、ボサっとすんなよ?」
そう言って棍を構える真希は無駄なところに全然力が入ってない。
なずなはその立ち姿だけでも見惚れそうになるが、それを真希が許すはずもなく……
「あたっ!」
バシッと小気味良い音を立てて、なずなは額を小突かれた。
呪力を上乗せした攻撃でもなく、ただ小突かれただけなのにふらつく。
だが、真希は悠長に待ってはくれず、次々と繰り出される突きや払いをなんとか受け流すくらいしかできない。
「ちょ、先輩っ、ま、待って……!」
「待たねぇよ!」
突然目の前にいた真希がフッと消えた
と思ったら足に衝撃。
「きゃあっ!?」
棍を捌くのに精一杯、そこにしか注意を向けていなかったことを見抜かれて足払いをかけられ、なずなは見事にひっくり返った。
追撃されては堪らないとすぐに起き上がると、意外そうに目を丸くする真希と目が合う。
「受け身はちゃんと取れんのな」
「い、一応小さい頃から剣術含め一通り武術は習ってたので……」
それこそ物心ついた頃から訓練していたのだが、あまりの実力差に元々無い自信が更に無くなってくる。
「動きで分かるよ。そういうのは一朝一夕には上手くならねぇから」
縮こまるなずなを励ますように少し笑うと、真希は打ち込みを再開した。