第25章 断章 呪具女子!
まだ知らぬ先輩達に見られているなどこれっぽっちも思っていないなずなは、真希に従ってグラウンドの器具庫に来ていた。
「あ、あの!」
「ん?」
「こ、この前、私の部屋からICカード持ってきてくださって、ありがとうございました!」
最初の自己紹介の時に言いそびれていた感謝と共に深々と頭を下げる。
その様子に苦笑した真希は手元に目を落とした。
「大袈裟だな……オマエ、得物は?」
「か、刀です」
「よし、じゃあコレ使え」
そう言われて投げて寄越されたのは木刀。
なずなが疑問符を浮かべていると、頭上から空を切る音がした。
視認するより早く身体が反応して木刀を振りかざす。
痛っ……!?
硬質な物同士がぶつかる音と共に、なずなの腕がビリビリと痺れた。
「い、いきなり、何ですか……!?」
「何って、挨拶だよ。呪具使いなんだろ?お互いの動きを見るのには手合わせが一番手っ取り早い」
ニヤリと笑う真希が手にしているのは棍。
あれで叩いてきたのだ。
訓練用の棍、だよね……?
なんでこんなに重いの!?
金属製か石製かと思うくらいの衝撃だったが、音から判断すると木製だ。