第25章 断章 呪具女子!
そんなグラウンドの様子を少し離れた場所で窺う2つの人影。
真希のクラスメイトである乙骨と狗巻だ。
新1年生に会いに行くと言った真希が……というより真希と対面する新1年生がどういう人物なのか気になって、こっそりついてきていたのだ。
「だ、大丈夫かな、あの1年生の子……」
「すじこ……」
緊張気味に頭を下げている1年生を見て、自分の入学当初のことを思い出し、乙骨は口元に手を当て心配そうにしている。
昨年、乙骨はとある事情で秘匿死刑を言い渡され、それを受け入れようとしていたところを五条に諭されて呪術高専に入学した。
そして入学初日に真希から過去にいじめられていたことを見抜かれ、さらには「私でもそうする」と言われたのだ。
あの子、控えめな感じだし、真希さんのこと怖がらないといいんだけど……
最初こそ真希の毅然とした態度に気後れしたものの、接してみるとなんだかんだ面倒見が良くてとても頼もしいのだ。
新1年生が呪具使いだと聞いて、声には出していなかったが喜んでいたし、ここはぜひとも仲良くなってもらいたい。
同輩には女子が真希しかいないため、余計にそう思ってしまう。
「……先輩達、何やってるんですか?」
突然背後から聞こえた伏黒の声に2人はビクッと肩を揺らした。
「伏黒君!?び、びっくりした……」
「こんぶ……!」
「なんか、すみません」
「ううん、こっちこそごめんね。真希さんが新しい1年生と任務の前に会うって聞いて、どんな子か気になっちゃって……伏黒君から見ると、どう?真希さんと合いそうかな?」
「そうですね……」
乙骨と狗巻の覗き見には加わらず、伏黒は少し考える。
まだ自分も彼女のことをよく知っているとは言いがたいが、禪院先輩とは呪具使い同士になるし、話は合うと思う。
「最初は微妙かもしれませんけど、大丈夫だと思います。禪院先輩の武術の腕を見れば、渡辺もすぐに尊敬すると思いますし」