第25章 断章 呪具女子!
終業後、なずなは真希と待ち合わせするグラウンドに来ていた。
「1人で大丈夫か?俺もいた方がいいか?」
「だ、大丈夫、ここまで一緒に来てくれただけでもう十分だよ……!」
1人では迷子になるだろうとの配慮で伏黒にもグラウンドまでついてきてもらったが、さすがに世話になりっぱなしで申し訳ないので、なずなはお礼を言って伏黒と分かれ、1人で待つことにする。
少し経つと校舎の方から人が歩いてくるのが見えた。
だんだんと近づいてくるにつれ、なずなの緊張も増してくる。
遠くから見ても姿勢がすごくきれい……
歩き方で既に強そう……!
や、やっぱり私、明日の任務で足引っ張るんじゃないかな!?
わたわたと考えている間にも距離は縮まっていき、とうとうなずなの目の前まで来て、立ち止まった。
スラリと伸びた長身、1つ年上とは思えない程スタイルが良く、艶のある黒髪を1つにまとめ、眼鏡の奥にあるのは切れ長の鋭い目。
まだ一言も会話していないにもかかわらず、醸し出される迫力になずなは一方的に恐縮してしまう。
「ぁ、あの……わ、渡辺 なずなです!よ、よろしくお願いします、禪院先輩」
「私を苗字で呼ぶな」
「す、すみませんっ……!」
やや声を荒らげた真希になずなはビクッと肩をすくめて謝った。
「名前は知ってると思うけど、私は禪院 真希。今日呼んだのは、任務の前にオマエの戦闘スタイルを見ておきたくてな」
真希はいたって軽い調子だが、なずなの不安と緊張感は更に増す。
任務前の事前テストみたいなもの……?
こ、ここで落第したら、私はお払い箱になっちゃうかも!?
そ、そしたら明日の任務も含めて「もう来なくていい」って言われる?
ど、どど、どうしよう!?