第25章 断章 呪具女子!
玉犬がなずなの匂いを追って真っ直ぐ森に入っていく。
その後についていく伏黒は本校舎の方へ振り返り、ため息をついた。
「なんでこんな所まで……」
遠くに見える校舎にますます疑問が膨らむ。
そもそもこの森は校舎からも学生寮からもかなり離れているのだ。
ここに入る前に方角の違いや移動距離の長さで迷ったことに気づきそうなものだが……
毎日助けを求められていたが、これまでが霞んで見える程突拍子もない場所だったので、改めて同級生の方向感覚に不安を覚えてしまった。
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その場に待機を命じられたなずなは1人で佇んでいた。
考え事をしていて、気づいたら森の中まで来てしまったのだ。
その考え事というのは、今朝知らされた明日の任務についてだった。
初めて2年の先輩との任務になり、今日の授業が終わった後にその先輩の会うことになった。
その先輩というのは禪院 真希。
まだ一度も会ったことのない先輩。
呪術師なら誰もが知っているであろうその苗字になずなは緊張していた。
どんな人なんだろう……?
こ、怖い人だったらどうしよう……!
任務で足を引っ張っちゃったら、怒られるかな。
……でも、すごい名門の家の人だよ?
私、絶対に足手まといだから、足引っ張らないなんてことある?