第24章 おかえり
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「ねぇ、恵くん、乙骨先輩や秤先輩とも合流できて、五条先生の封印も解けたよ。一緒に津美紀さんを助けよう?」
伏黒の病室に1人残ったなずなは目覚めない彼の手を握り、声をかけ続けていた。
「九十九さんがね、魂についての研究記録を遺してくれていてね、それを参考にして津美紀さんを助ける方法を皆で考えているんだ」
声が震える。
本当は不安で不安で仕方ない。
手順なんて全然知らずに身体の動くまま、ただただ必死に、がむしゃらにやった封印術、
もし宿儺の封印が恵くんに何か悪影響を及ぼしていたら……
今この瞬間にも心臓が止まってしまうかもしれないし、呼吸がなくなってしまうかも……
確かに温かいが力の無い伏黒の手を何度も握り込む。
それに、
宿儺の生得領域に入るためとはいえ、彼の身体を傷つけたこともずっと心にわだかまっていた。
「鬼切で切りつけてごめんね、痛かったよね。ちゃんと封印できてなかったらごめんなさい……!」
堰を切ったように涙が溢れ出す。
虎杖くんが宿儺に乗っ取られた時、私が割って入っていれば、
無理やり指を飲まされそうになった時に阻止できていれば、
恵くんが宿儺に乗っ取られることはなかったかもしれないのに、
私が五条先生みたいに強かったら、
宿儺を倒しきれたかもしれないのに、
「っ、ごめん、ごめんね……!」
私はまた、
肝心な時にあなたを助けられなかった……!