第24章 おかえり
五条が去った後、虎杖の目は意識を取り戻さない伏黒に移る。
「五条先生はなんて?」
「封印はできていて、鬼切が宿儺を抑え込んでいるから、あとは恵くん次第だって……」
「そっか……渡辺、伏黒のこと本当ごめんな」
ベッドの柵を握りしめ、眉を寄せて謝る虎杖になずなは慌てた。
「な、なんで謝るの?虎杖くんが謝ることないよ……!」
「いや、宿儺が伏黒に何かするって前から分かってたのに、あっけなく主導権を渡しちまった」
「それは宿儺がそういう縛りを作ってたからで、虎杖くんの落ち度じゃないでしょ?そもそも少年院で虎杖くんの心臓を抜いたのも宿儺で、あの時、その縛りを受け入れなかったら、虎杖くんが死んでた」
「死ぬべきだったんだよ。そうすれば渋谷で人があんなに死ぬことはなかったし、伏黒だって……」
「ダメだよっ!!」
虎杖の言葉をなずなが大きな声で遮る。
「自分が死ぬべきなんて言わないで。私は虎杖くんが生きててくれて良かったって思ってるよ。それに交流会に特級呪霊が現れた時も八十八橋で九相図の受肉体と戦った時も虎杖くんがいなかったらどうなってたか……この死滅回游だって秤先輩の協力を得られなかったかもしれないし、日車さんを説得できなかったかもしれなかった」
なずなは虎杖の目を真っ直ぐ見つめる。
「……恵くんだってそう言うはずだよ」
―まずは俺を助けろ―
そう言って役目をくれた伏黒を思い起こす。
「そう……だな。渡辺、ありがと」