第24章 おかえり
「……そっちも遅すぎだ」
五条に抱えられているのはかつて離反した同輩。
力無く垂れ下がった腕や全く動きのない身体からは完全に生気が失われている。
家入が彼を見たのは高専時代の離反直後が最後だったので、約10年ぶりの再会ということになる。
家入の指摘に五条は目を伏せた。
本来なら昨年の百鬼夜行が終わった時、親友の遺体の処理を任せるべきだった。
そうしていれば、あんなふうに弄ばれることもなかったのに、自分の判断が完全に裏目に出てしまった。
「本当、全くだよ、返す言葉もない」
生徒の前で見せている軽薄な姿とは打って変わった五条の様子に息を吐いた家入が「来い」と合図する。
「まずは霊安室だ。それからオマエの検査を……」
「いや、先に傑の方を頼む」
「分かったよ」
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