第24章 おかえり
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そして日が沈みかけた夕刻―……
病院の屋上で一服していた家入の背後に見知った気配が降り立った。
ふぅと紫煙を吐き出し、煙草の火を消して振り向くと、予想通りの人物が。
「……遅いぞ、五条」
「ごめんごめん、今回はマジでしくじった……ところで今日って何月何日?」
「11月19日だ」
「……ははっ、そっか」
思ったより時間が経っていないことに自然と笑みが出る。
そんな五条を家入が眉をひそめて咎めた。
「何笑ってんだ。オマエが封印されてる間、こっちは休み無しだ」
「いやぁ、僕の生徒達は優秀だと思ってさ」
五条が渋谷で封印されたのが10月31日、当時渋谷には特級呪霊が複数体、その中には魂の形を変えて人間を改造人間にする真人もいた。
地下鉄を使って入り込んできた改造人間は全て倒したが、渋谷駅の帳に閉じ込められた大勢の一般人を改造人間にしただろう。
夏油の肉体を乗っ取っていた何者かが呪霊操術を使って無数の呪霊を放つことも考えられる。
それらに対処した上、約20日間で封印を解除する方法を探し出して実行した。
無論、生徒達のことは信頼していたが、もっと時間がかかってもおかしくないと思っていただけに、これは期待以上の成果だ。
生徒達の成長の喜びを噛み締めている五条に対して、家入の視線は五条の手元に移る。