第24章 おかえり
ああでもない、こうでもないと話は一向に進まず、痺れを切らした真希が頭を掻いた。
「あのバカのやることなんか分かるかよ」
「だよなぁ……結局待つしかないか。悟なら1人であちこち回っても絶対に死なないだろうし」
むしろ1人の方が様々なことが効率的に行える可能性すらある。
そんな中、他の泳者の情報から何か読み取れないかとコガネに表示させた情報を見ていたなずなが大きく目を見張って大きな声を上げた。
「!、羂索が!!」
「どした?」
「ア、アイコンが間違ってなければなんですけど、その、死んでます……」
「はぁっ!?」
なずなのコガネが出した情報を見ると確かに髑髏のアイコンに変わっている。
虎杖やパンダも自身のコガネに表示させて確認するも見間違いではない。
「もしかして五条先生が?」
「タイミング的にもそうだろう。羂索は相当腕の立つ術師だ。並の術師では歯が立たない。それに回游に参加している過去の術師は羂索と契約して受肉を果たしているからまず羂索の命は狙わない」
天使の言葉に日下部が続く。
「また自分が封印される可能性を真っ先に潰しにいった訳か。羂索は五条を封印した後、これまでと打って変わって残穢を残すことに頓着しなくなった。五条ならすぐに探し出せる」
親友の肉体を好き勝手使う羂索を許せないという理由もあると考えられるため、これまで出してきたあらゆる可能性より大いに納得できる動きだ。
「……じゃあ次に五条先生が何をするか、ですね」
「多分ここに来ると思うぞ。五条だけじゃ羂索を殺した後、夏油の遺体の処理が難しい」
そう推察したのは家入だ。
無論“蒼”であれば肉体を再生不可能なレベルまで潰せるが、五条が夏油の遺体でそれをやるかと問われれば「やらない」と断言できる。
なぜなら1年前の百鬼夜行の時にそうしなかったから。
五条と夏油の青春を一番近くで見てきた家入の言葉からは確信すら感じられた。