第24章 おかえり
埼玉県木呂子鉱山(呪術高専第四演習場)―
広大な鉱山跡地に着いた虎杖達は解放した五条が暴れる万が一を考え、それぞれのポジションを決め、意味を成さないかもしれないが念の為土嚢を用意して準備を整えた。
ちょうど敷地の中央あたりに獄門疆・裏を置き、ドキドキしながら土嚢を積んだバリケードの後ろに隠れる。
唯一、術式を行使する来栖だけは上空で待機しており、深呼吸して緊張をやり過ごしていた。
全員が退避したことを確認して狗巻がメガホンで来栖に知らせる。
「しゃけーっ!!」
その声を合図にラッパを手にした来栖が術式を発動する。
―邪去侮の梯子―
強烈な光の柱が獄門疆“裏”に降り注ぎ、眩しさに手をかざす者、目をつぶる者がほとんどの中、サングラスで凌ぐ家入と謎のカメラ目線でピースサインする高羽。
そして、土煙を上げた獄門疆“裏”に全員が駆け寄る。
「どうなった!?」
「先生ーっ!近づいて平気!?」
虎杖が声を張り上げるが返事はない。
やがて土煙が風に流されていくと……
「!!」
虎杖が立ち止まった先、獄門疆“裏”を置いた場所からは五条はおろか何もなくなっていた。
「……あれ?先生?」
気配すらどこにも感じられない。
「獄門疆と一緒に消えたってこと?」
ドキッと来栖が肩を揺らす。
虎杖を始め、周囲からじとーっとした視線を向けられ、来栖の顔に冷や汗が浮かぶ。
高羽だけは明後日の方向を向いてこう締め括った。
「こうして世界にまた1つ、新たなトリビアが生まれた……」
―獄門疆“裏”に天使の術式をあてると……五条悟ごと消える―
「……五条悟って魔の者だったんじゃないですか?だから私達の光で消えちゃった……私のせいじゃなくない?」
「あ、開き直った」
「まぁ五条の性格はそんなもんだよ」
来栖が口を尖らせていると、突如地面が揺れた。
「!、地震!?」
「このタイミングって偶然じゃねぇよな」