第24章 おかえり
うーんと唸っていると日下部がガシガシと頭を掻いた。
「実際に追加されちまってんだ、そこを考えても仕方ねーよ」
「……羂索側の情報が早いのも気になりますね、宿儺が伏黒君に移ったことを知られてる。それに氷見汐梨って誰でしょう?」
「裏梅という術師の受肉元かと。渋谷……いえ、交流会の襲撃前から羂索と協力関係にあったと考えられますから」
乙骨の疑問に答えた伊地知は交流会襲撃の際に捕縛された組屋を尋問した時の内容を思い返す。
あの時は羂索との繋がりは見えなかったが、渋谷で協力関係が明らかとなり、今もその関係が続いていると考えれば妥当だ。
「じゃあ次は羂索が宿儺と裏梅以外の泳者を狩り始めるな」
「もう動いてるんじゃない?呪霊操術なら取り込んだ呪霊を一気に解放しちゃえば簡単でしょ」
秤の隣で綺羅羅が口を尖らせる。
「尚更五条先生の解放を急がないと……!」
「待て待て、落ち着け渡辺、夜は呪霊が活発だ。今から封印を解こうとしたら来栖と天使の術式に反応して大挙して寄ってくるかもしれねぇ」
「日下部先生……」
「獄門疆“裏”の封印を解くのは夜が明けてからだ」
「でも急がないとヤバくない?」
「さすがに一晩くらいは大丈夫だと思うよ、虎杖君。少なくとも僕達が死なない限り、死滅回游は終了しないから」
話を締めるように日下部が手を叩く。
「決まりだ。今夜は呪霊を警戒、明日朝一で五条の封印を解く。いいな?」