第24章 おかえり
2人がロビーへ着くと2年生達が乙骨を取り囲み、何やら騒いでいた。
「憂太から反転術式を習って1日で習得したぁ!?」
「……渡辺さん、元々筋が良かったみたいで」
パンダ達に詰め寄られている乙骨は笑って頬を掻いている。
耳に入ってきた会話を聞いて、虎杖もうんうんと頷いた。
「まぁ、納得かも。五条先生も1年の中だと渡辺が一番呪力コントロールが上手いって言ってたしな」
「そ、そうなの!?」
自分だけ特筆すべきものがないと思っていたなずなは驚きの声を上げる。
「うん、交流会の前にさ、特訓を受けてたんだよな、その時に俺聞いたんだよ『1年だと誰が呪力コントロールが上手いの?』って」
交流会の前だとちょうど虎杖が死亡扱いになっていた頃だ。
「先生、ちょっと考えたけど、渡辺だって言ってた」
反転術式は呪力操作の一種であるので、呪力コントロールの上手さが習得の近道になるのは当然と言えば当然だ。
一方のなずなはというと、思わぬ方向からの評価に照れて顔を赤くしている。
「そ、そんなっ、私なんてまだまだだよ!縛りで呪力量が増えたって言っても術式は使えなくなってるし、精進あるのみというか……!」
「全く……安静解除は無茶していいって意味じゃないぞ」
いきなり聞こえた家入の声になずなは肩を揺らして振り向いた。
「家入先生……!あの、私はもう大丈夫です。眼も他の傷も治しました。め、恵くんに会わせてもらえませんか……?」
「ここまで来ると執念だな。……分かった、明らかに呪力切れだが大目に見よう。その代わり検査は入念にするぞ」
「はい……!」