第24章 ____
翌朝、
昨夜のうちに家入から安静解除の許可をもらったなずなが病室を出て廊下を歩いていると、虎杖と鉢合わせた。
「あ、おはよう、虎杖くん」
「えっ、渡辺!?もう包帯取って大丈夫なの!?あれ、眼も治ってる!」
「うん、少し目尻を切っちゃってて、その痕はちょっと残っちゃったけど、ちゃんと見えるようになったよ」
「スゲーじゃん!……あ、でもなんか顔色悪い?」
「これは単に呪力切れだね。反転術式ですごく呪力を使っちゃって……最初だから効率の悪い方法でやっちゃってると思うし……」
なずなは苦笑して昨日の奮闘を話す。
反転術式は呪力を掛け合わせる都合上、呪力消費は通常時の2倍、より効果を高めようとすればそれだけ呪力消費量も跳ね上がっていく。
これまでいかに鬼切に頼りきっていたのかを思い知らされた訓練だった。
「乙骨先輩とか家入さんみたいに他人も治せる?」
「それは全然できなくて……出力しようとすると普通の呪力になっちゃうんだよね」
「そういうもんなんだ?」
「うん、そうみたい」
これはなずなも思いもよらなかったことで、もっと役に立てるやもという期待がすぐに打ち砕かれてしまい、少しショックを受けた。
「乙骨先輩は最初からできたみたいだし、家入先生にもコツを聞いてみたんだけど……」
「けど?」
「“ビューン、ヒョイ”だって……」
「えぇー、全然分かんねー……」
虎杖も某魔法魔術学校での授業で出てきた浮遊魔法だと気づき、なんとも言えない表情になる。
その顔を見てなずなも苦笑を深めた。
「そういう訳だから、今のところ自分しか治せないんだ」