第24章 おかえり
「じゃあその人達の呪力の流れをよく思い出して全身に呪力を巡らせる、その上で鬼切があった時の感覚を再現してみたらどうかな?」
「は、はい……!」
流すんじゃなくて、廻る……
なずなは目を閉じて呪力の流れに集中する。
全身を巡る血液みたいなイメージで、呪力を巡らせる……
すると、なずなに呼応するかの如く呪力の流れが変わっていく。
流れを自在に操れるような、今までにない不思議な感覚だ。
これなら……!
鬼切があった頃の感覚を重ね、巡っている呪力を右手から逆流させてぶつける。
呪力と呪力の奔流ができたと思った次の瞬間、それは柔らかな力となって弾けた。
「い、今のはどうでしたか!?」
勢いよく振り向いたなずなに乙骨も大きく頷く。
「コツを掴めたみたいだね、その調子でいけば傷を治せるレベルになると思うよ。頑張って」
「はい、ありがとうございます……!」
そうして喜んだのも束の間、病室のドアがノックされて虎杖が顔を覗かせる。
「乙骨先輩、秤先輩達が呼んでる」
「……分かった、すぐ行くよ。ごめんね、渡辺さん」
「あの、私のことは気にしないでください。なんとなくやり方は掴めたので、あとは1人でやってみます」
虎杖と乙骨が出ていき、病室に残されたなずなは忘れないうちにさっきの感覚を思い出し、呪力を巡らせた。
恵くんのために……
恵くんが目を覚ました後に苦しむことがないように、この傷を治すんだ……!
呪力の流れを意識し、ぶつける。
やり方は間違っていないはずなので、あとはこのぶつける呪力をどんどん大きくしていけばいい。
進める毎に体内に感じる柔らかい力は大きくなっていき、それに伴って軽い打撲が少しずつ治っていく。
「……できた……!!」
核心を掴んだなずなは更に精度を上げていった。
そして、夕方に戻ってきた乙骨と診察のために来た家入を大いに驚かせることとなる。
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