第24章 おかえり
「こんなの全然参考にならないよねっ、ごめんね……!」
「い、いいえ!こっちこそすみません。なんというか、次元が違いすぎて頭がついていかず……」
お互いに謝り合いになってしまい、このままでは収まらないと乙骨が咳払いする。
「渡辺さんは前は自分の術式効果でフルオートの反転術式が使えていたんだよね?その時の呪力の練り方、流れ方をイメージしてみるといいかもしれないよ」
「……前は鬼切の呪力が全く別物だったから無意識でも掛け合わせられたんです。自分の内側で練る呪力と鬼切から流れ込んでくる呪力を感じていて……」
当然だが、今は自前の呪力しか感じない。
手で呪力を練るなんてこともできないので以前の感覚を真似ようにもできないと話すと、乙骨はまた少し考える。
「……腹で呪力を練ってそれを全身に流すっていう基本認識を変えてみたらどうかな?」
「というと……?」
「強い人って呪力操作の精度が高くて呪力の流れが読み辛いよね、あれって呪力の流し方が“腹から全身へ”じゃなくて“全身を廻っている”ってイメージだと思うんだ」
「呪力が全身を廻る……」
「そう……あ、でも僕のやり方は全くアテにならないから真似しないでね」
乙骨はその豊富な呪力量に物を言わせ、戦闘時は燃費度外視で常に膨大な呪力を纏っている。
これは乙骨だから取れる手段であり、なずなが行えばすぐに呪力切れになってしまうだろう。
「渡辺さんはそういう呪力操作の上手い人に心当たりはない?」
「あります!東堂先輩や七海さん、禪院特別1級術師……」
それに……
宿儺は飛び抜けて上手かったと思う。
絶対に言いたくないので口には出さないが。