第24章 おかえり
乙骨の答えになずなは小さく息を呑み、見えない右眼を手で覆う。
「……見た目だけでもいいです」
「渡辺さん……」
「それは伏黒のため?」
悲痛そうに眉を寄せた虎杖に頷く。
「この眼の傷を見たら、恵くん、きっと自分を責めると思うの。一度だけじゃなく、私の顔を見る度に……でも、反転術式で見た目だけでも治せれば……も、もちろんそれだけで誤魔化せるとは思ってないけど、このままよりずっといい」
それに自分の呪力で使ったことはないが、反転術式自体なら全く覚えがない訳でもない。
なずなは改めて乙骨に真剣な眼差しを向ける。
「反転術式なら鬼切を使ってた頃の感覚でなんとかならないかと思うんです。教えてもらえませんか?お願いします……!」
家入も反転術式使いではあるものの、来栖をはじめ、他の患者も診なければならない上、他者を治すことに長けているため、自力での治し方を習うなら乙骨に、と考えた結果だった。
「……分かった。うまく教えられるか分からないけど」
「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
承諾した乙骨になずなは何度も頭を下げた。