第24章 おかえり
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病室に1人になり、落ち着いて自分の状態を確かめてみる。
領域を使い、鬼切も術式も失ったことで呪力はほぼ空っぽ。
その上、さっきまであまり感じていなかったが、身体のあちこちが鈍く痛む。
声の聞こえ方がおかしかったのも左耳の鼓膜が破れていたから……
ここまではまだいい。
時間が経てば呪力は回復するし、傷も治るのだから。
なずなの一番の気がかりは、治せなかったと言われた右眼だ。
傷を刺激しないようにそっと右眼を覆う包帯に触れる。
この目を見たら、恵くん、悲しむだろうな、
きっと自分を責めるようになって、ずっと苦しむことになってしまう。
どうしよう、恵くんのせいじゃないのに……
宿儺と対峙した時はただただ伏黒を助けたい一心で封印を試みた。
そして幸いにも封印は成功。
なずな自身も命を失わずに済んだ。
けれど、伏黒が目覚めた後、この右眼の傷を見たらどう思うか、と考えると途端に心が重くなる。
鬼切があったらな……
一瞬そう考えて首を横に振った。
鬼切を呼んで、もし鬼切が応えてしまったら宿儺の封印が解けてしまう。
それだけは絶対に避けなければならないこと。
鬼切に頼らず、自分でなんとかしないといけない。