第24章 おかえり
「あのっ、来栖さんはどうなったんですか?それに津美紀さんは?」
「来栖は右腕を失ったけど一命は取り留めた。今はこの病院内だ。津美紀の方はあの後結界を移動したらしい」
真希に促されてコガネに情報を出させると、
伏黒 津美紀
得点:0
変更:01回
滞留結界:仙台
確かに東京から遠く離れた結界に移動していた。
「どうして仙台に……?」
万の意図が分からず、彼女が正体を表した時の記憶を手繰り寄せる。
―千年ぶりの戦いよ、場所も相手も好きに選びたいわ―
―初めてはやっぱり宿儺―
―じゃあね、待ってるわよ―
そう告げて飛び去った。
あの時、虎杖くんに対して『待ってる』と言っているように見えた。
……万は虎杖くんの中に宿儺がいることを知っていたということ?
その上で宿儺と仙台で戦いたい?
仙台に何かあるのかな?
宿儺を倒すための何かが……
更に深く考えようとするとズキリと頭に痛みが走った。
「悠仁から万と会話したことも聞いたが、情報が少なすぎるからな、過去の術師ってことくらいしか……天元様なら何か知ってたかもしれねぇけど」
だが聞こうにも既に天元は羂索の手の内だ。
他に万のことを知っているかもしれない人物は、と考えてなずなはふと思い当たる。
「……もし万が1000年前の術師なら天使さんが何か知ってるかも」
「あ、確かに!来栖がもうちっと回復したら聞いてみるか」
その後、なずなが気絶していた間の裏梅の襲撃と撃退、来栖が助かった顛末も聞き、ひと通りの情報共有が終わると、家入が手を叩いた。
「渡辺に聞きたいことはこれで全部か?なら早く出ろ。怪我人には休息が不可欠だ」
「あの、少しでいいので恵くんに会わせてもらえないですか?」
「治したと言っても軽傷じゃないんだ、休むことを優先しろ」
家入から直々にドクターストップがかかり、なずなもおとなしくするしかなかった。