第24章 おかえり
「渡辺、あの時結界内で何があったんだ?どうして鬼切がどこにもないんだよ?」
なずな以外の全員が思っていた疑問を虎杖が尋ねた。
真剣な面持ちの虎杖に頷き、なずなは思い出せる限り詳細に何をしたかを話し始める。
「あの時、宿儺の生得領域に無理やり私の領域を接続したの。宿儺の魂だけ斬れば恵くんが戻ってこられるんじゃないかって……」
「魂を斬るって、あんな土壇場でよく実行できたな」
真希が瞠目する。
「鬼切ならできるって思ったんです。以前、無垢蕗村の任務でかつて生贄となった子達の魂を斬りましたから」
実際、鬼切の術式もあってこれまでとは比べ物にならない威力と効果で宿儺を攻撃できた。
「鬼切の術式効果で宿儺の術式と反転術式は封じました……それでも私じゃ全然歯が立たなくて……」
どんどん追い詰められていく中、必死に考えた末に思い当たったのは渋谷で封印された現代最強の術師だった。
「五条先生は羂索より強かったはずなのに封印された……そう思ったら、私よりずっと強い宿儺だって封印できるんじゃないかって思ったんです」
「宿儺を封印!?」
「は、はい」
指1本の封印すら現代の術師ではままならないのに15本分の力を取り戻した宿儺を封印なんてにわかには信じられず、秤や綺羅羅、真希、パンダが声を上げる。
虎杖が高専に入学するきっかけになった事件も封印が年代物だったから非術師にあっけなく解かれてしまったという面があり、五条からも「指の封印が追いついていない」と聞いたことがあったので、先輩達の驚きようにも頷けた。