第24章 おかえり
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どこなのか分からない暗い空間の中、なずなの視線の先には伏黒が横たわっていた。
顔色は青白く、呼吸もしていない。
「恵くん!恵くん!!」
急いで駆け寄ろうとしても座り込んだ脚は全く動かせず、声を張り上げても彼が起きる気配はない。
早く、
恵くんを助けないと……!
頭ではそう思っているのになずなの意思に反して身体は動かない。
なんで!?
どうして動かないの!?
早くしないと恵くんが……!
焦燥だけが募っていく中、彼の顔に黒い紋様が現れ始め、顔全体に広がっていき、やがて首や手にも現れる。
見間違いであってほしいという僅かな願望はすぐに打ち砕かれた。
あれは、宿儺の……!
「お願い!恵くん、戻ってきて!!宿儺なんかに負けないで!」
叫ぶように懇願しても伏黒には届かない。
そして……
ゆっくりと開いた瞼から覗いたのは真紅の瞳で……