第24章 おかえり
羂索も同じように思ったのか、笑みを深めて裏梅の全身を眺め、フフッと笑う。
「その割には無傷じゃないか」
「そういう術式効果だったというだけだろう」
裏梅は忌々しげに舌打ちする。
「諦めずにまた虎杖悠仁の奪還に行くのかい?」
「いや、宿儺様はもう虎杖悠仁の中にはいない。黒髪の少年の肉体に移った」
「へぇ、成程ね……」
その言葉を聞いた羂索は宿儺のやらんとしていることをなんとなく察する。
これまでの宿儺の動きに対する違和感にも合点がいった。
そんな羂索に構うことなく裏梅は立ち上がって身を翻す。
「足の速い呪霊を貸せ。飛行できるものがいい」
「えぇー、タダという訳にはいかないな……東京第1に戻るの?また弾き飛ばされないようにね」
「違う、同じ轍など踏むものか。宿儺様の指の残りを集める。あのお方の完全復活には必要だ」
「そうか。じゃあこれを貸そうか……利用料は後払いでいいよ、君、今点持ってないだろうし」
そう告げて、羂索は大きな魚の呪霊を渡した。
前回裏梅を東京第1結界に送った時と同じ呪霊で空を泳ぐように飛び、見た目によらず速さも出る。
裏梅も頷き、呪霊に飛び乗ると今度は羂索に尋ねた。
「貴様は何故こんな場所にいる?」
「京都でも言ったろう?死滅回游を終わらせるんだよ」
そうして2人は各々の目的を果たすために動き出す。
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