第24章 おかえり
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「クソッ、あの術師、ただでは置かん……!」
裏梅は東京第1結界から遥か遠くまで叩き飛ばされ、瓦礫の中から身体を起こした。
すぐ背後からくつくつと笑い声がして振り向くと、羂索が笑みを浮かべながらこちらを見下ろしている。
「また随分とコケにされたようだね」
「黙れ」
「東京第1結界に送ったのはついさっきだろう?なんでこんなところに?」
壊滅した禪院家の懲罰房で“浴”の準備を見届けた後、主を迎えに行くから虎杖悠仁のいる結界まで送れという裏梅の要求に応え、彼女を東京第1結界まで送ってからまだ1時間も経っていない。
しかも宿儺がいないということは奪還に失敗したのだ。
虎杖本人やその周りの術師に抵抗でもされたか……
一度に多数を拘束できる裏梅があっさり退けられるということは考えにくいのだが。
すると、長い沈黙の後、裏梅が口を開いた。
「…………ふざけた術師に弾き飛ばされた」
万が結界を自由に出入りできる総則を追加する前であれば東京第1結界内に留まれただろうが、そんなたらればも虚しくこんな所まで飛ばされてしまった。