第24章 おかえり
「……今回は渋谷の時みたく指を一気に飲まされた訳じゃないだろ?なんで悠仁は宿儺に肉体を明け渡したんだ?」
「分からねぇ。私が駆けつけた時にはもう恵に受肉した状態だった……」
パンダの疑問は真希も思っていたことだった。
津美紀が転送された時にいち早く見つけられるよう分散していたが、予期しない総則追加に驚き、合流しようとしたら巨大な鵺が現れて雷撃を受けた。
あの時既に伏黒に受肉していたのだろう。
「その後、なずなが領域に閉じ込めて何かやって……恵は気絶してる」
「えぇっ!?宿儺をどうこうしたのか?なずなが!?」
「そこも本人に聞かないことにはな……しかも途中で宿儺側の術師に妨害されたから本当にどうなってるか分からねぇ」
「宿儺側の術師?」
「パンダは見たことあるんだっけか、渋谷で。氷の術式を使う白髪おかっぱの奴だ」
「なずなの低体温症はアイツの仕業か……」
パンダも裏梅の強力な術式を思い出す。
真希は走って戻ってきた補助監督から毛布を受け取り、なずなに被せて立ち上がった。
「?、どこか行くのか?」
「この後、悠仁が恵を連れてくることになってる。まだ東京第1で来栖を探してるはずだから迎えに行く」
「とんぼ返りだな!」
「憂太がここに着いたらこっちに来るように言ってくれ。いつ宿儺が出てもおかしくねぇってな」
「分かった。こっちも受け入れ準備はしておく」
「頼む」
伏黒が宿儺を完全に抑え込んでいるのかどうか全く分からない今の状況では受け入れる側も相応の対応が求められる。
伏黒の状態を診るにしても宿儺が出てきた時に備えて結界を張った部屋を準備しなければならない。
パンダは力強く頷き、真希を送り出した。