第24章 おかえり
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……、……!
……なずな!!
「なずな、起きろっ!」
「……?」
切羽詰まった声になずなはわずかに目を開けた。
……なぜか視界の半分が暗い。
聞こえる声も何かに遮られたようにくぐもっている。
全身が痛み、呼吸も満足にできず、朦朧とした意識の中、か細い声でうわ言を繰り返す。
「……め、ぐみ、くんを……たす、け……」
「なずな!」
「た、すけ、ないと……」
重力に逆らえず瞼が落ちてくると、すかさず真希の鋭い声が。
「おい寝るなっ」
高専が拠点にしている病院へ向かう間も真希はなずなに声をかけ続け、意識を取り戻したと思ったら、また気を失いかけたので思わず声が鋭くなる。
もう少し、
あと少しで病院に着く。
だが、氷に閉じ込められていたなずなの身体は血が通っているとは思えないほど冷たい。
真っ青になった唇から言葉にならない声を発しており、今にも眠りに落ちそうだ。
間に合え……!
鬼切もない中、寒さに震える段階はとうに過ぎた低体温症はなずなの命をいつ奪ってもおかしくなかった。
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