第24章 おかえり
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裏梅を退けた後、高羽は来栖を探しにいき、虎杖達は敵襲を警戒しながら伏黒となずなの応急処置を始めた。
「恵は?」
「気絶してるだけっぽい。傷もそんなに深くなさそうだし……」
虎杖が手早く伏黒の状態を確認していく。
天使の術式で灼けた皮膚は宿儺が反転術式で治しており、目につく傷は肩口の切り傷のみだ。
それも浅いもので、止血の応急処置はすぐにできた。
宿儺の紋様も嘘のように消えている。
同じようになずなの負傷を確認していた真希がため息をついた。
「なずなの方がだいぶ重傷だな。内臓には刺さってねぇと思うけど何本か肋骨が折れてるし、潰された右眼は家入さんでも治せるか分かんねぇぞ」
肋骨を骨折しているせいで呼吸が浅く、氷漬けにされたことで指先や耳が軽く凍傷になっている。
「俺、鬼切探してくるッス」
鬼切さえあればなずなは自動の反転術式を使える。
家入の元へ運ぶ間にも治療ができるし、潰れた右眼も治るかもしれない。
虎杖は早速なずなが張っていた結界の周辺を探しに向かうが、漠然と不安を感じていた。
以前彼女から聞いた鬼切の術式は、鬼切が選んだ使い手の枕元にいつの間にか鎮座しているというもの。
寝ていても鬼切の方から来るなら今ここにないのは何故なのか……
案の定、虎杖の不安は的中し、建物、瓦礫の隙間までくまなく探しても鬼切の気配すら見つけられなかった。