第24章 おかえり
三代との数え切れない程の取組の中で真希は覚醒できたので、結果としては感謝すべきなのだろうが、相撲に対する熱すぎる情熱とそれを根底とした行動はもはや奇天烈だった。
今、裏梅を圧倒している高羽とはなんとなく共通の匂いがする。
……いや、三代の方がまだ話は通じていた気すらしてきた。
そんなことを考えていると、
「この下﨟(げろう)め!」
高羽と自分の間に氷の壁を作り出し、高羽を足止めした裏梅が倒れた伏黒の元へ走る。
無論真希と虎杖が突破を許さず立ちはだかったのだが……
「どうしても伏黒少年となずな嬢を引き離したいようだな!」
分厚い氷を容易く砕いた高羽が猛然と迫り、裏梅に追いつき、手にしたハリセンを大きく振りかぶる。
「だがそんな野暮な真似は……おいちゃんが許しまへーんっ!!」
「っっ!?」
ペッチーンッと叩かれた裏梅は紙を蛇腹に折っただけの道具で何故そんな攻撃ができるのかなど考える間もなく、アニメの悪役よろしく空の彼方へ吹っ飛ばされた。
星を残して飛んでいった裏梅を眺めて真希と虎杖は唖然とする。
「……高羽が敵じゃなくてよかったな」
「そうッスね……」
確かに裏梅を退けるとは言っていたが、こんな展開は2人とも予想できなかった。