第7章 日々是特訓
伏黒の胸ぐらを掴んで足を払って転ばせる。
さらに関節技に持ち込もうとしたら、真希が割って入ってきた。
「それはやめろ。さすがに窒息しちまう。……しかし、木刀投げるなんて、なかなかの不良っぷりだな」
「えへへ、キャシィと特訓したおかげです」
なずなは少し照れながら、伏黒から離れる。
「……そこは喜ぶとこなのか……?」
やはり伏黒は2人のやり取りについていけなかった。
一旦休憩となったところで、真希と伏黒はなずながむくれているのに気づいた。
「なずな、どうしたんだよ?」
「真希先輩も伏黒くんも背高すぎ、手足長すぎです。平地じゃなくて、坂とか階段で戦いたい……」
確かになずなはほかの2人より小さい。体格差で有利不利がハッキリする近接戦闘では、明らかに不利になる。
上が取れれば身長差はあまり気にならなくなるということを言っているのだろう。
その代わり足元が危険だが、なずなにとっては足元が多少危険でも、そちらの方が戦いやすいらしい。
「そんなにか……?俺から取った本数の方が多かっただろ」
伏黒の言う通り、2人が打ち合いを始めて、この休憩までなずなが勝ち越している。
しかし、なずなは猛然と反論する。
「身長があって、手足が長いっていうのは、近接戦だとすごいアドバンテージだよ!動きを工夫しても、伏黒くんに割とすぐ対応されちゃうし……はぁ、いいなぁ」
今まで鬱憤を溜め込んでいたのか。
こんなに羨ましがるなずなを伏黒も真希も初めて見た。
「ちなみになずなはどんくらい身長ほしいんだ?」
真希の問いかけになずなは口を尖らせてぼそりと答える。
「……五条先生くらいあったら、もっといろんなことができるのにって思います」
「えっ……」
思った以上に要求レベルが高かった。