第23章 本領
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「かはっ!」
なずなは宿儺の生得領域内の巨大な骨に叩きつけられた。
呼吸もまともに続かない中、咄嗟に身を伏せると、なずなの頭があった場所に宿儺の拳がぶつかる。
「ケヒッ、片腕と術式を封じた程度で勝てるとでも思ったか?」
今度は重い蹴りが襲ってくる。
まだ身体の痛みが抜けない中、迫る脚に鬼切を振り向ける。
が、なずなに届く直前に膝を曲げたかと思ったら、右腕で脇腹を殴られた。
数合やり合う中で宿儺も鬼切の特性を見抜いており、なずなの攻撃は思うように入らなくなってきている。
分かってた。
分かってはいたけど、強い……!
片腕のはずなのに押される。
痛いなんて言ってられない……!
立ち止まったらあっという間に殺される!
……私じゃ勝てないの……?
ここまでして殺されるだけ?
ふとそんな考えが頭に浮かんでしまう。
……ダメだよ、
それじゃあ恵くんを助けられない。
どうすればいい?
どうすれば恵くんを助けられる?
このままじゃすぐに領域を保てなくなる。
ここから弾き出されてもう二度と宿儺の魂には届かなくなる。
私が五条先生みたいに強かったらな……
鬼切はちゃんと宿儺を斬れるのに私の技量が圧倒的に足りない。
宿儺に有効打を与えられない……!