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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第23章 本領








「ええいっ、邪魔をするな!」

「オマエがな!」


外では裏梅がなずなの結界を攻撃、破壊しようとしており、真希と虎杖はその隙を与えまいと猛攻を仕掛けていた。


だが裏梅も1000年前の術師、一筋縄ではいかない。

近接戦に特化した2人を相手取り、足元を凍りつかせて足止め、更に氷の刃を作り出し、虎杖の拳と真希の呪具はそれに触れると薄い氷が張り、瞬間の動作が遅れる。

氷の刃は奪っても破壊してもすぐ新しく作られるのも厄介だった。


その上……


「霜凪!」


少し距離が離れると見るや、一帯を凍てつかせ、氷漬けを狙ってくる。

幸い逃げ切れているが、一度氷に捕まれば抜けられないだろう。


遠距離での攻撃、防御手段を持たない2人はとにかく近距離での間合いを維持して戦い続ける。


氷で攻防をこなす裏梅も分が悪いことを肌で感じており、ジワジワと防戦を強いられてくる。


煩わしいことこの上ない。

裏梅は宿儺を迎えにここまで来たのだ。
この2人を相手にする理由はないのに戦闘を強いられているため苛立ちが募る。


ここに駆けつけた時に一瞬だけ見え、結界の向こうへ消えた黒髪の少年。

あの紋様、あの呪力は間違いなく裏梅が仕える主のものだった。
渋谷では虎杖の肉体だったが、別の肉体に乗り替えたのだ。




―俺が自由になるのもそう遠い話ではない。ゆめ準備を怠るな―



主の言葉を思い出す。

準備を整え、迎えに来てみたら予想外の状況だったが、やることは変わらない。

主を閉じ込めたあの結界を破ることが最優先事項だ。
それを遂行するためには邪魔な2人を拘束する必要がある。

霜凪が当たりさえすれば難しくはないが、渋谷で一度見せているため相手もそれを警戒して簡単には捕まらない。


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