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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第23章 本領



宿儺が掌印を作るのをなずなの目が捉えた。

虎杖から報告された宿儺の領域の術式効果は領域内の全てを切り刻むというもの。
実際、渋谷ではそれで109一帯が更地になった。


それを自分が食らったらどうなるかと考える。

領域を展開されたらきっとどんなに身体を強化しても防ぎきれないし、回復も間に合わない。
私が領域を解けば逃げられるかもしれないけれど、宿儺は二度も生得領域に入れてくれる程容易い相手じゃない。


それなら、取るべき手段はただひとつ、

領域を展開させないこと……!


なずなのその思いに応えるように脚の強化が強まり、これまでにないスピードで距離を詰め、その勢いのまま鬼切を振り抜いた。


確かな手応えと共に腕が落ちる鈍い音。


これで掌印は組めなくなった。
領域は展開できない。


「つまらん」

「っ!」


頬に衝撃が来たと思ったら殴り飛ばされていた。

ジンジンと広がる痛みを気にせずすぐに起き上がる。


そして切り落とした宿儺の腕が一向に再生しないことに目を見開く。

宿儺は失った心臓をも再生できるレベルの反転術式を使える。
それで腕が治せないなんてことは考えられない。

だが治さない理由もないはず、
そこまで考えて、なずなはある一つの可能性に思い当たる。


宿儺は腕を再生できないことに片目をすがめている。

「小娘、貴様……何をした?」

「ケホッ、見ての通りだよ、オマエの腕を切った」


なずなが思い当たった可能性、それは鬼切の術式効果だ。


「……オマエは両面宿儺という鬼。鬼ならばこの鬼切で斬れない道理はないよ」


鬼切はその名が示す通り、鬼を斬る。
一度斬れば「鬼を斬った」という事象が確定され、傷が塞がらなくなるのでは。

身体の負傷状態の固定は渋谷で新田新が術式として使ったことを聞いている。
効果は異なるが、鬼切にも同じようなことができるとしたら……?


なずなは鬼切の向くまま迷うことなく刀を振るい、その斬撃は宿儺の呪力防御に阻まれることなく宿儺に傷をつけていく。


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