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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第23章 本領



「渡辺!!」


虎杖が駆けつけた時にはなずなは球体状の結界内に消えていた。

何度か目にしたことがある領域展開だ。

これを破らなければ彼女に加勢できない。


「クソッ、どうする……!」

相手は両面宿儺、そして肉体は伏黒のもの。
いくらなんでもなずな1人では荷が重すぎる。

だが破れば今度はなずなの術式が焼き切れてしばらく使えなくなる。
そんな状態で宿儺の前に投げ出されたら瞬く間に殺されてしまう。





「悠仁ッ!」


虎杖が逡巡していると後方から真希の鋭い声が。


そちらに向こうとして足が動かないことに気づく。

ハッと足元を見るとパキパキと伸びた氷が両足を地面に縫い留めていた。


この凍てつく呪力には覚えがある。
裏梅とかいう術師のものだ。

完全に固められる前に力を込めて氷の枷を破壊する。


「私達の相手はこっちみたいだ」

「貴様ら、宿儺様に何をした!?」


広がる氷の発生源を素早く辿ると、そこには裏梅が立っていた。



裏梅の氷凝呪法の影響で周囲の気温はどんどん下がっていき、吐息まで白くなる中、真希は裏梅から目を離さずに虎杖に言う。


「さっきのなずなは玉砕覚悟で突っ込んだようには見えなかった、何か策があるんだと思う。私達はアイツがそれを邪魔できないようにするぞ」

「押忍!」


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