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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第23章 本領




一方宿儺はこちらに向かってくる真希を見据えてわずかに目を細めた。

鵺のダメージが見えないな。
雑に間引ける女ではなかったか……



凄まじい速さで繰り出される2人の打撃を捌ききり、宿儺は床に手を当てる。


おそらく同胞を傷つける時、この肉体は俺を強く拒絶し、術式への呪力出力を落とす。


ならば、


「捌」


蜘蛛の巣のように床面に斬撃を走らせ、足場を崩すと近くにいた真希を殴る。

すぐに立て直してくるが、もう遅い。

虎杖もわずかに追いつけない位置にいる。


大きく踏み込んで虎杖と真希の包囲を抜け、行く手を阻むように玉犬をけしかける。
遠距離攻撃の手段を持たない2人はまず玉犬の相手をするしかない。


そして宿儺の狙いは変わらずなずなだ。



なずなは向かってくる宿儺を見てもやはり動けなかった。

虎杖や真希の「逃げろ」という声も聞こえたが、足に力が入らない。


もう伏黒を助ける手段がないと理解することを拒んでしまう。



拳を振りかぶる宿儺は嗤っている。
殴られたら一撃で殺されるだろうと容易に想像できた。



もう避けられない距離まで拳が迫ってくる。



ごめんね、恵くん、

私……


ゆっくりと瞼を閉じると一筋の涙が流れた。



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