第23章 本領
一方、宿儺は次の標的をなずなに移すかと思いきや、眼下を眺めてつまらなさそうに目を細めた。
「まだいたのか」
その視線の先には虎杖の姿。
彼もまた瞠目して来栖が投げ捨てられるのを目撃していた。
次の瞬間、虎杖は立っていたビルの屋上が陥没する程の力で跳び、宿儺に殴りかかった。
これまでも常人離れした身体能力ではあったが、それとは比較にならない破壊力。
攻撃を受けた宿儺も怪訝そうに眉を寄せた。
どういうことだ?
なんだこの力は―……
考える間もなく巨大な瓦礫が飛んでくる。
それに注意が逸れた隙に背後に回っていた虎杖がへし折った標識で殴り掛かってきた。
その目を見て宿儺はあることに思い当たる。
そうか、小僧はあの時の、
身を伏せて避けると虎杖の顎に蹴りを入れる。
「羂索め、気色悪いことをする」
「オマエは、オマエ達は!どうして普通に生きられない!!」
重い蹴りを受けても虎杖の動きは止まらない。
怒りが身体を支配してその衝動に任せて宿儺に向かう。
「どうして不幸を振り撒かずにはいられないんだ!!」
直後、宿儺の斬撃が虎杖を襲う。
「俺から言わせれば、オマエらこそ何故そこまで弱い。何故弱いくせに生に執着する」