第23章 本領
信じられなくて、
信じたくなくて、
伏黒はかろうじて言葉を絞り出した。
「なんで……今まで!!」
「あなた達が私に勝手に説明したんでしょう?死滅回游とその離脱プラン。労せず100点貰えるなら貰うわよ」
万はこの戦いに明確な目的を持っている。
その目的のために羂索と契約して呪物となり、1000年も待っていたのだ。
10もの結界、そして複雑なルールが絡む死滅回游において、万はまずどこの結界に入るべきか考えていた。
入る結界によって目的達成までにかかる時間が異なりそうだったからだ。
そんな時に死滅回游からの離脱のため100点を譲渡するという話を聞かされた。
まさに渡りに船だった。
「千年ぶりの戦いよ、場所も相手も好きに選びたいわ」
万の背に蜂の翅のようなものが現れる。
何もなかった所から一瞬で。
「初めてはやっぱり宿儺」
そう告げて空へ飛び上がると虎杖に目を向けて、
「じゃあね、待ってるわよ」
凄まじいスピードで一直線に飛び去っていく。
すぐに動いたのは来栖と虎杖だ。
「追います!」
「ああ!」