第23章 本領
伏黒と津美紀の会話を眺めながら、虎杖は自分の役目の終わりを感じていた。
あの時、渋谷で伏黒に頼まれたこと
―まずは俺を助けろ―
もう少し、
これが終わればもう伏黒は大丈夫。
あとは天使に宿儺を俺ごと消してもらって獄門疆“裏”から五条先生を解放してもらう。
そしたらもっと大丈夫。
初めからこうしておけばよかったのかもしれない。
あの時……杉沢第三高校で宿儺の指を飲み込んだ時、伏黒を助けてそのまま消えれば良かったんだ。
次に脳裏に浮かんだのは五条と伏黒の顔。
ありがとう、俺に役割をくれて。
これ以上はもう……
「コガネ、ルール追加」
……は?
「結界を自由に出入りできるようにしてちょうだい」
津美紀の口から告げられた唐突なルール追加になずなはついていけず、ただ混乱していた。
え……?
ルール追加?
もう離脱するためのルールは設定してあるのになんで……?
「承認されました!〈総則〉12 、泳者は結界を自由に出入りすることができる」
間髪入れずになずなや虎杖、伏黒のコガネのアナウンスが響く。
「泳者による死滅回游の総則追加が行われました!〈総則〉12、泳者は結界を自由に出入りすることができる」
「闘う場所は好きに選びたいじゃない」
そう言って振り向いた津美紀は口元に笑みを浮かべていた。