第23章 本領
11月16日 午前
天元が語っていた事態が音もなく動き始めた。
日本の人間を彼岸へと渡す境界、
それが呪力で満たされ活性化した全国10の結界を橋渡しに北海道以外の地域を跨いだのだ。
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11月16日 正午
「何やってんだ、オマエら」
結界の外で起こったことなど露とも知らず、軍人の救助に奔走する虎杖達の前に真希が現れた。
「えっ、真希先輩!?」
「いつの間に!?」
昨日時点で回游に参加していないことを確かめていた虎杖となずなが驚いているのとは対照的に伏黒が簡潔に答える。
「昨日の0時頃から世界各国の軍隊が死滅回游の結界に送り込まれていてその軍人を救助してました」
「軍隊が結界に?」
「はい、呪霊に殺させて各結界を呪力で満たすために羂索が送り込んだと思われます」
「成程、だから外でも慣らしが……」
顎に手を当てて考え始めた真希の呟きにいち早く反応したのはなずなだった。
「ど、どういうことですか!?慣らしって天元様の言っていた……?」
「ああ、今朝その慣らしが始まってあっという間に日本中に広がった」