第22章 呪い合い、殺し合い、
「だからなんとしても止めたい。けど止めるための手段が思いつかねぇ」
ギリと奥歯を噛み締め、悔しげな表情を浮かべる伏黒。
その手をなずなの小さな手が握った。
「私も考えるよ、虎杖くんが死ななくても済む方法。2人で考えてもダメだったら先輩達にも協力してもらおう。そうすればきっと何とかなるよ」
虎杖の意図が判明して数時間、1人で考えて思考が袋小路に入ってしまっていた伏黒にとって、なずなの言葉は温かく染みわたるようだった。
五条解放のこともあるが、急ぎなのは死滅回游被害者の離脱のためのルール追加だ。
こちらは離脱プランの筋道が立っているため先に動くことにするが、懸念点もあり、なずなは伏黒が眠っている間に虎杖と話したことを伝えた。
「京都校の先輩達も参加してるのに、真希先輩だけいないの。乙骨先輩も秤先輩も100点持ってるのにルール追加してないし……何かあったのかな?」
「詳しくは聞いてみないと何とも言えねぇけど先輩達がここまでルール追加してないのが一番のメッセージだろ。目的がはっきり分かるまで俺達もルール追加すべきじゃない。たとえ点が集まっても」
「で、でも津美紀さんの宣誓期限まであと3日くらいしかないよ?」
「それは先輩達も分かってる。だからそれまでに何らかの連絡があるんじゃねぇかと思う。だから今は待つ」
わずかな情報と時間で答えを導き出した伏黒になずなはほうと溜息を漏らす。
「やっぱり恵くんって凄いね。どうするべきかすぐに分かっちゃう……!」
「何言ってんだ、なずなこそだぞ。虎杖のこと、俺だけじゃずっと考えても分からなかった。何ともならないんじゃねぇかって……ありがとな」
「ま、まだお礼には早いよ……!な、何も思いついてないわけだし!」
「でも何とかなりそうだって思えるようになったのは本当だ」
伏黒はもう一度感謝して頬を赤らめるなずなの頭を撫でた。
この翌日、更に事態が転じることになろうとはここにいる誰もが知る由もなかった。